心と人生の処方箋

人生には様々な困難や苦しみ、迷い、哀しみ、挫折がある。しかし人は、気付きと行動によって、誰でも自分自身の中に希望の星を見出すことができる。心を開き、気付きと創造の旅に出よう。たった一度の人生を、悔いのないものとなるように。

恋愛相談によくある「相手と付き合えますか?」という質問に対して

「可能か不可能か」という問い

 

恋をすると、その人と付き合えるかどうかということは気になるものだ。しかし自分から気持ちを伝える勇気がなく、悶々とした日々を過ごし、毎日のように星占いを調べたり、時には可能性を胸に抱きながら占い師らの元を訪れこんな質問をしてしまう。

 

「私は彼・彼女と付き合えますか?」

 

ズバリ結論から言ってしまうと、「付き合えるかどうか?」という質問は、自分の利害中心の質問だと言える。

もちろん、好きな相手と付き合えるかどうかは、恋をしている人間にとっては人生最大の悩みである人もいるだろうし、そこまでとはいかなくとも、心と頭の大部分を占める問題なのかもしれない。「利害しか考えていない」などと言われて、純粋な恋心を踏みにじられたかのように感じることもあるだろう。

 

けれど、できるかどうかを最初に知ることで、自分は何を得たいのだろうか?

「意中の相手と付き合える」という可能性を示され、安心感と期待感、そして告白する勇気を得たいのだろうか。

「付き合えない」という結果を聞いたことで、がっくりと肩を落とし、自分から彼に告白することもしないまま諦めてしまうのか。それとも、その占い師らに「じゃあどうしたら付き合えるか」といったことを問いただすのか……。

 

いずれにせよ、この場合関心事は自分の利害・損得にしか向かっていないことになる。

獲物を狙うハンターであり、ハンターは獲物をどうやったら獲得できるかということしか頭にないし、ハンターはいちいち獲物の気持ちなど考えはしない。獲物をおびき寄せる手段を考え実行することはあっても、それは獲得するという目的があってのことだ。

 

恋愛は、自分を知るための学びの宝庫

 

あなたが本当に相手と「付き合いたい」と願うのであれば、ハンターになるのはよそう。

ハンターでいることは、狩ることが出来るかどうかという偏った緊張状態を作り出す。

ビジネスでもあるまいし、そんなことを四六時中気にして悶々と過ごしているよりも、まずは今、恋している自分に対してもっと違う質問を生みだしてみてはどうだろうか。

 

自分がこの恋愛においての学びや気付くべきことはなんだろうか?

好きな人に告白する勇気が持てないのはなぜか?

そもそも本当に告白する勇気が自分にはないのだろうか?

自分に自信がないのなら、そこが問題の本質なのでは?

もし相手と付き合えたとして、自分はそれでも自然体でいることができるだろうか?

相手を色眼鏡でみてはいないか?

付き合えるかどうか心配するのではなく、恋をしている自分をただ純粋に楽しむということも、素晴らしいことなのではないだろうか?

付き合えるかどうかを気にしている自分は、相手の気持ちをちゃんと考えられる人間なのだろうか?

 

あなたがもし積極的なのであれば、まずは気持ちの交流を心がけてみよう。

「付き合えるかどうか」という可能性を値踏みしながらではなく、ただ楽しめばいい。

 

もし自分は消極的で、話をするなんてとてもできないというのであれば、あなたが相手を好きになった理由をまずは客観的に捉え直してみよう。話すらできない相手を好きになったのはなぜか、どうしたら相手のことをもっと知ることが出来るか。

 

付き合えるかどうかを質問してくる人が全員利害しか頭になく、ハンターでしかないと言っているのではない。中には、もっと他に聞くべきことがあるような気はするのだけど、上手く言葉にできなかったり、若さゆえの人生経験の少なさから、可能か不可能かという二択での質問しか浮かばないといったケースもあるだろう。

 

誰かに相談するに限らず、自分に対してどんな質問を抱き、どう考えるかでそこで得られるものは変わってくる。

ちょっとしたお楽しみ気分で星占いを眺めたりするのはいいが、可能か不可能かという結果にばかり振り回されてしまうのは嘆かわしいことだし、誰かに補償してもらわなければ自分からは何もしない人間になってしまいかねない。

恋愛経験は、本当の自分を知っていくための学びの宝庫なのである。

 

「出来るか出来ないか」にばかりウエイトをおくのをやめよう

 

ここに書かれてあることは極端かもしれないが、恋愛に限らず「出来るか出来ないか」の答えを軸として行動してしまうクセが自分にないかどうか、振り返ってみよう。

 

そもそも「出来るかできないか」のみをわざわざ占い師らの元に訪れて聞いて終わりでは、時間と金の無駄である。

良い占い師などは、「出来る出来ない」には答えず、もっと物事の本質を探ろうとする。

 

そして相談者がハッとしてしまうような、思ってもみなかった問いを投げかけてきたりするのだ。

中には「結果だけ教えてくれればいいから」と、自分と向き合うことさえしようとしない人もいるだろう。

そういう人は、何かにつけて「出来るか出来ないか」という表面的な答えを得ることだけに終始し、延々と同じパターンを繰り返す。

 

自分からアクションを起こして相手に告白し、その結果が良くても悪くても「自分から行動を起こすことができた」という勇気が自分にあることを発見できるし、自分から心を開いて飛び込んで行くという素晴らしい行動力があることを、自分に証明してみせることができる。

 

もし結果が望ましくないものであったとしても、そこできちんとゼロになり自分なりにやり切ったと言えるのであれば、それは必ずあなたの肥やしになる。

 

恋愛も、仕事も、趣味も、「出来る出来ない」「損か得か」でばかり物事を判断していては、自分の心身の経験値が増えることはないし、成功や失敗から自分を深く知っていく機会も減るだろう。

 

恋愛で失敗することは、痛みをともなう。

悲しいし、辛い。自分という存在を全否定されたかのような気がすることもあるだろう。

けれど、そこから学び、得られることは沢山ある。

それが怖いからと結果ばかり知りたがるのは、いかがなものだろうか。

もっと恋愛経験を味わい、自分を知り、そして自分が本当に望む相手を知っていこうとする方が、結果を知るより何倍も――何百倍も価値のあることなのだ。